「若きIT女子」上田千晶先生に突撃インタビュー!

― 本日は、2017年度より着任された新任教員、上田千晶先生にいろいろとお話を伺います。情報工学科創設以来、初めての女性教員をお迎えしたこともあり、IT分野に興味を持ったきっかけのお話や、女子学生さんへのメッセージもいただこうと思います。
■研究について
― 上田先生の研究分野について教えてくださいますか。
上田: 簡単に言うと、色合いを変換する研究をしています。たとえば、食べ物の写真をよりおいしそうな色合いに変換したり、写真を高齢者でも見やすい色に変換したり、といった方法について研究しています。
― 料理の写真を「インスタ映え」する写真にできますね!
上田: 確かに、今ちょうど旬の研究ですし、これからの高齢化社会に向けても役立つ技術ですね。
― 上田先生は、色彩検定一級の資格もお持ちだとか。色のことについて、何か面白いお話とかありましたら。
上田: 料理の色合いというのはとても繊細で、おいしそうかどうかをかなり左右するんですよ。たとえば、この写真を見てください。

― おいしそうな辛口カレーですね!
上田: 辛口かどうかは見ただけじゃ分からないと思いますけど…。では次に、全体を青っぽく変換した写真です。

― うーん、青い照明のあやしいカレー屋さん、という感じですか。
上田: そんなところですね。そして、カレーの部分だけを青っぽくした写真が、これです。

― !!
上田: 料理の写真の、どこをどのように変換するかで、ずいぶん印象が変わりますよね。
― こんなに印象が変わるものなんですね。それに、全体が青い写真と比べるとカレーの色が少し違うように見えますが?
上田: それは色の対比による錯覚で、実際にはどちらのカレーの色もまったく同じなんです。
― なるほど、面白いものですね。では、先生の研究の最終ゴールは何だとお考えですか?
上田: この例のように、色を見て、それについて何らかの印象を抱くのはあくまでも人間の側ですから、これまでの画像処理技術に色彩の心理的な効果を上手に取り込んで、人にやさしい技術にできればと思っています。
■教育について
― 上田先生が着任して最初に担当された講義は、1年生の初年次導入科目 の「情報工学フロンティアI」でしたね。3教員で協力した講義、いかがでしたか?
上田: いろいろな内容が盛り込まれていて、導入にぴったりですね。本格的にプログラミングを学ぶ前段階として、楽しみながらアルゴリズムの考え方が身につくと思います。それに、理系の学生はおとなしい学生さんが多いので、この講義のグループワークが仲間を作るきっかけになるのはいいことですね。
― 上田先生単独の講義としては「応用数学I」をご担当です。講義をされてみて、いかがですか?
上田: 学生がどこが分からないかを想像しながら講義の準備をするのが大変です。最近は特に講義内容が複雑になってきたので、噛み砕いて説明することに苦労しています。私は昨年度まで大学院生だったことだし、学生の気持ちを忘れずに講義を組み立てたいです。
― こんな講義をしたい、という理想がありますか?
上田: それはもう、「学生が寝ない授業」でしょう(笑)。すごく面白くて、寝てる場合じゃない、という。もっと大きな理想をいえば、学生さんが「岡山理科大学に来てよかった」と思ってくれるような教員、研究者になれたら幸せです。
■上田先生のコト

― ご自分を一言でアピールしてください。
上田: そうですね、「マイペース」ですかね。
― 岡山の印象は?
上田: 気候が穏やかで、とても過ごしやすいところです。
― 岡山理科大学の印象は?
上田: 小高いところにあるので、大学から初めて見た夜景の美しさには感動しました。あと、学内に売店や食堂が大小たくさんあって助かりますね。それと、5階から渡り廊下で別の建物へ行くとそこは地下1階だったりして、最初は戸惑いました。
― 斜面にある建物は階がややこしいですよね。大丈夫、じきに慣れますよ。さて、では、ちょっとドキドキしますが…、情報工学科の印象は?
上田: やさしそうな先生ばかりで、安心しました。学生は、少しシャイだけど真面目な人が多いですね。私が副担当としてお手伝いした「プログラミングII」では、全16回で一人の欠席者も出なくて、びっくりです。
― 休日はどう過ごされていますか?
上田: 岡山駅のあたりで買い物をしたり、平日にはできない家事をしたりしてます。あ、そうそう!実は私、後楽園の年間パスポートを買ったんですよ!ときどき自転車で行って、日本三大名園に癒してもらっています。
― それは風流ですねー。ところで、そんな上田先生が情報工学の分野に興味を持ったきっかけは?
上田: 高校で一度は文系を選択したんですよ。でもその後にあらためて考えてみたら、理系の方が自分には面白そうに思えてきたんです。で、やっぱり理系に変更してください、と先生にお願いして。実際、私はもともと星を見たりするのが好きで、その後大学で天文サークルに入ったりもしたので、よい選択だったと思います。
― それならば、天文学の分野に進みそうなものですが…。
上田: 大学でプログラミングを学んだとき、それが驚くほど自分の性分に合っていることに気づいたんです。それで情報系のゼミに入り、そこで研究の面白さにハマったまま一気に博士課程まで進んでしまいまして。そして大学院生として学生を指導するうち、教育という仕事に魅力を感じて今に至る、です。
― なるほど、確かにプログラミングは「マイペース」な上田先生にぴったりのところもありますね。
■高校生へのメッセージ
― では、これから大学を受験する学生のみなさんへ向けて、メッセージをお願いします。
上田: 触れたことがない知識に触れることができるのが、大学というところだと思います。今は興味がないものが、実は自分に一番合っているかもしれないです。自分の中の宝探しをするような気持ちで、自分がやりたいことを探しに来てください。ここ情報工学科でハードウェア、ソフトウェア、ネットワークを幅広く学ぶうちに、きっとそれが見つかると思いますから。
― 特に女子学生のみなさんに向けて、「IT女子」上田先生からメッセージを。
上田: よく、女性は「論理」は苦手で「感性」に優れる、とか言われますけど、女性のその「感性」こそが理系での強みになると私は思っています。情報工学は、女性が力を発揮できる、ほんとうに面白い分野です。この分野にもっともっと女性が増えてほしい!女子学生のみなさん、どんどん来て増やしてください!
― ありがとうございました。せっかくなので、あとひとつだけ。着任してからのエピソードで、何かネタ系とかありましたら。
上田: とにかく、よく学生と間違われますね。用事で学生課とか行くと必ず「何年生?」って聞かれますし。この前なんか、自分の講義が終わって黒板を消してたら、次の講義で来た他学科の先生が「ありがとう」って。
― (一同笑)ありがとうございました。若きIT女子、上田先生の今後のご活躍がますます楽しみです!
聴き手:クラ・エリス(情報工学科・講師)
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