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川畑先生にインタビュー!

2023.06.09 お知らせニュース受験生在学生

Kawabata_interview1 ― 本日は、2023年度より情報工学科に着任された、川畑宣之(かわばたのぶゆき)先生にお話を伺います。インタビューが盛り上がって、長い記事になってしまいました。研究施設や企業での実務経験をお持ちの川畑先生ならではのお話満載です。どうぞお付き合いください。

■実務経験について

― 川畑先生、ゆっくりお話しする機会ができてよかったです。今日は気楽にやりましょう。川畑先生は大学以外の実務経験がおありですし、そのあたりのお話からぜひ。

川畑: 一番長く働いた職場はスプリングエイト(SPring-8)ですね。兵庫県の奥地にある研究施設で、最近ではサクラ(SACLA)という施設も完成して最先端の研究を行っています。加速された電子がぐるぐる回る蓄積リングという巨大な輪から放射光という光を取り出して色々なものを測定します。ものすごく簡単に言うと超高性能な顕微鏡ですね。最近話題になったのははやぶさが持ち帰った小惑星イトカワの微粒子を分析したことですかね。

― 加速器を使うようなお仕事をされていたんですか?

川畑: 加速器を使う側ではなく、SPring-8を使うために世界中からやってくる研究者をサポートする側の仕事をしていました。実験をするには、施設の利用申請をしたり、その申請を審査したり、研究成果を報告したりと、とにかく大量の事務処理があって大変なので、業務システムでのサポートが必要なんです。国を代表するような施設なのでしっかりやらないといけませんし、専用の法律もあるんですよ。

― 研究する側とはまた違った面で気をつかうことも多そうですね。

川畑: ええ、複雑な要件を運用まで考えて短期間でリリースする必要があったので大変でした。本当は、実験と成果の関係とか色々分析したかったんですが、複雑な業務を少人数で回す現場だったので、システムの維持管理に精一杯で。ハードウェアもソフトウェアもネットワークも、ですから。

― うちの学科はその3つを学科の柱にしてますけど、「ひとり三本柱」はキツいですね。そういうインフラを支える仕事は大変と思いますが、どうでした?

川畑: 大変といえば大変ですけど、まあ、根っから好きというか、高校時代からそういうことばかりしてましたから。大学時代には、がらくたを集めてサーバ用のコンピュータを組んで動かしたり、ネットワークカード2枚挿しでルータに仕立てたり、大学院生のころもたくさんのPCをネットワークでつないで高速に並列計算できるPCクラスタ環境を作って、研究室をサポートしました。

― がらくたからサーバコンピュータとは、何かのSF映画にでも出てきそうなエピソードですね。情報工学科でも学科や実習室のシステムがいろいろ稼働していますから、頼もしいです。

川畑: そういうシステムまわりのことを、できるだけ手間やお金をかけず、うまくできればいいと思っています。サーバの仮想化技術などに携わってきましたから、それを学生や教員が使いやすいような計算機環境づくりのお手伝いに生かせるのではと。

― 仮想化って、1台のコンピュータを見かけ上たくさんのコンピュータとして働かせる、クラウドで使われてるあれですよね。

川畑: ええ。最近は単純な仮想化だけではなくDockerとかKubernetesといったコンテナ技術のおかげでだいぶ文化が変わって便利になって、でもそれはそれで今度は管理の手間が増える、みたいなことも問題になってきます。たいしたトラブルでもないのに、たくさんのサーバからシステム管理者にしょっちゅう障害発生の連絡が行くと大変なので、何とかしないと。

― そういう工夫は研究テーマとしてありだし、学生にとって興味深いと思いますよ。

■研究について

― 川畑先生は、大学時代にどんな研究をされていたんですか?

川畑: いまのAIブームの、その前のAIブームが終わるころに、AIの中身であるニューラルネットワークの研究をやっていました。当時はCPUも今より遅く、ソフトウェアもすべて自作する必要があって大変でした。大学院の博士課程を出たころに今のAIのディープ・ラーニングの技術なんかが出てきて、なんじゃこりゃあ!と驚きました。最近話題のChatGPTもすごいですね。あれだけの規模の学習がうまくいくとは。

― ちょうどAIブームの谷間のころに研究されていたとはいえ、今のAIブームは、これまでの地道な研究があってこそと聞いてます。AIを使ってどのようなことをされたんですか?

川畑: 知能には身体性が必要であるという議論がされていたころなのもあって、「自己組織化マップ」という理論を使った移動ロボットの頭脳を作りました。最終的には、周囲360°を見渡せるロボットが自分で移動しながら地図を把握したり、目的地まで自分で行ったりできるようになりました。

― 移動ロボット!ひょっとして移動はキャタピラですか!?あぁ、車輪ですか。地図作成といえば、学科の先生が「うちの娘は方向音痴で上と下くらいしか分からん」と嘆いてました。そんな人に便利かも。

川畑: 僕も方向は苦手で学内で迷子になりかけましたけど、さすがに前と後ろくらいは分かります。

― 似たり寄ったりかな…まあ、とにかく移動ロボットは面白そうですね。

川畑: 今の技術でやれば、また別の発展がある気がします。

■研究について

― 岡山理科大学について伺ってよろしいですか。SPring-8の次に民間企業へ、そして大学へと、環境はそれぞれかなり違うと思いますが。

川畑: 本当に自由な空気を感じます。こちらに就職することを昔の指導教授や先輩方に伝えたら、すごく喜んでくれました。キャンパスの起伏は多めですけど、在宅勤務のころにかなり太ったので、ちょうどいい運動になるし、高校もSPring-8も山の上だったから、なんか懐かしいです。こんなに街のそばなのにきれいな鳥の鳴き声が聞こえる自然があって。食堂も制覇中です。「Udonや」が多いかな。学園食堂もいいし。「たんぽぽ」はご飯の大盛りがいいですね。僕は博多ラーメン命なので、噂の「ゼロイチ食堂」の再開が待ち遠しいです。

― 自由の中で自分を律して、いい結果を出してくださいね。では、情報工学科の印象について、思うままにどうぞ。

川畑: この学科は、地に足の着いた感じの研究をされているかたが多い印象です。先生方も、雰囲気がよくて穏やかな感じのかたが多いですね。

― 大サービス、恐縮です。そのまま書かせてもらいます。地に足の着いた研究は、ものづくりの工学部にある学科としてのキモです。

■教育について

― 川畑先生は、教育分野で頑張るという決意でこちらに来られたとのことで、心強いです。秋学期からは「情報ネットワーク基礎論」と「ワイヤレスネットワーク」の講義をご担当ですが、準備はいかがですか?

川畑: 無線技術の分野は進歩が速くて、5Gなんてとっくに実用化されてるし、専門書の内容がどんどん古くなっていきますね。技術の進歩にあわせて自分も進化して、追いつかないと。

― 川畑先生が進化したら、電波を見たり感じたりできるようになりませんかね。

川畑: それは、ちょっと方向の違う進化でしょうね。で、講義のほうでは、学生の手を動かしてやりたいと思っています。当たり前に使っているネットワーク、例えば家の無線LANとかがどんなふうに動いているのか、そんなことをベースに講義を組み立てて、理屈を学んだあとは実際にやってみる機会を作れたら、と思います。

― おっ!それは情報工学科が目指す「理論と実践の教育」そのままです。ぜひとも。

■川畑先生のこと

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― さて川畑先生。ひとことで、自己アピールをお願いします。

川畑: 好奇心旺盛、興味が広い、趣味が多い。ですので、車や自転車やカメラとか、星を見たりするし、サックス吹いたりクラリネット吹いたりです。子どもの時にやりたかったことを大人の経済力で叶えているようなところがあるから、モノが増えて部屋は散らかるわお金はかかるわ。ラーメン屋や酒蔵めぐりとかも好きですね。いまは子供がまだ小さいんで、休みをすべて趣味にとはなかなかいかないですけど。でも、子供のおかげで自分も日々成長する気がしてます。ゲームも昔から好きで、エイジオブ…みたいなリアルタイムストラテジーものとか。

― ひとことを、ありがとうございます。アクティブですね。エイジオブ…ですか。これはコミュニケーションツールだ!と先輩にやらされた覚えがありますよ。そういえば学科HPの教員紹介写真のクラリネット演奏、あれは奥様のピアノとのデュエットなんですってね。素晴らしい。

■高校生へのメッセージ

― では恒例、これからこの学科を目指すみなさんへ、メッセージをお願いします!

川畑: 自分で動いてください。流されるだけでは何も起きないです。足を一歩踏み出せば、自分で何かやってみれば、人生が変わり始めます。高校生のいま、やりたいことがあるなら手を延ばしてください!

― ありがとうございます。現職に就かれるまで、何度も大きな決断を経験した川畑先生らしいです。最後に何か、普段の先生の雰囲気が伝わるネタか何かありますか?

川畑: そうですね…、こないだのお話とか?

― ああいう、奥様の年齢がバレる話とか、やんちゃ過ぎる話とかは書けないからボツです。ここまでで大丈夫ですよ。今日はどうもありがとうございました。お疲れさまでした。

……

……

― さてと、かなりメモを書き散らしたから、インタビュー記事にまとめるのが大変…あれ?川畑先生、戻ってこられたんですか?忘れ物?

川畑: いやちょっと、ネタというか、帰る途中で思い出したんで。実は高いところが苦手なんですよ。この建物の渡り廊下がちょっと怖いです。

― わざわざそれを言いに戻ってきてくださったんですか!そういえば川畑先生の研究室はC4号館の5階、情報工学科の研究室の中では一番高い場所にありますよね。渡り廊下からの景色は季節ごとにきれいなんで、移動の合間に楽しんでください。

― そんなアクティブで律儀な川畑先生が、学科の仲間に加わりました。秋学期からは本格的に担当講義が始まり、そして来年度からはゼミ学生の受け入れも始まります。これまでの実務経験が存分に生かされた研究テーマやゼミとなることでしょう。各方面の活躍に期待しています!

聴き手:近藤 真史,島田 英之(情報工学科)

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